豪華キャスト勢揃い！テレビで見たあの顔があちこちに

壇ノ浦の戦いから数百年。とある小さな村に眠る埋蔵金をめぐり、ふたたび火花を散らす源氏と平家。そこへ孤高のガンマン（伊藤英明）がやってきて、争いは新たな局面を迎える……

◆ベネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品◆
9月8日に閉幕したばかりの2007年ベネチア国際映画祭コンペティション部門に選ばれています。受賞こそなかったものの、全編セリフは英語、マカロニウェスタンを和風にアレンジした超異色作。日本映画オタクで知られるクエンティン・タランティーノの出演も話題となり、現地での上映は好評だったそう。

◆他では見られぬ個性派がずらり◆
テレビで気になる名脇役たちがそろってます。ドラマ『離婚弁護士II』で飲み屋の親父を演じた松重豊に、ドラマ・映画『HERO』の無口なバーテンダー田中要次。中国映画にも出演する実力派・香川照之は難解な役どころを見事に演じきります。

そして、勢揃いした主役級の俳優たちには目もくらむほど。伊藤英明に伊勢谷友介、佐藤浩市、桃井かおり、木村佳乃、安藤政信。かと思えば、香取慎吾や石橋貴明、クエンティン・タランティーノまで登場。

「これだけ単独で主役を張れる役者さんが揃うと、現場で役者から、質問が出たら上手く答えるだけでもシンドイ。で、彼らにそんな余裕がないようにとハードルを高く設定したんです。英語と格闘している間にどんどん本番進めちゃおうと（笑）」とは、監督・三池崇史のことば。その甲斐あって（？）「本当なら5年で撮る企画」と桃井かおりが言うところを、約9ヶ月で撮影完了。英語特訓を共に乗り越えたおかげで、役者たちの結束も固かったのだとか。

英語と共にこのウェスタンを異色にしているのは、やはり独特のギャグシーン。真剣きわまりない格闘シーンのはずなのに、有り得ないギャグが連発。だけど、そんなギャグに挑む大物俳優たちはとても楽しそう。まさしく大人が本気で遊ぶとこうなるのだという見本です。

ウェスタンだけあって、銃撃戦は絶え間なく続き、これでもかというほどの血が流れます。不条理で残酷な悲劇も繰り返される。コメディーと評されることもあるこの『スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ』ですが、笑いに隠された痛みには底知れぬものがあります。世界で最も歴史ある映画祭に招待されたゆえんかもしれません。【PG-12指定】


text by...  こうだ真紀

2007/09/18