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路傍の晶

第32回

お好み焼き もんじゃ焼き ももや 店主 金本さん

* 店主の金本さん *
* 店主の金本さん *
とかく大阪の人間は、東京を好まないと聞く。だが大阪の高校を卒業して就職した金本さんは、二十歳の頃に転勤して20年来、「東京にまったく違和感はない」と語る。「こっちに来て、友だちもすぐにたくさんできましたしね。仕事の人付き合いもうまくいった。僕には分け隔てがないんですよ」

 ただひとつ、どうしても気になることがあった。それは、お好み焼きの味、そして店員の接客態度だった。「けっしてまずいわけではないけど、心からうまいと思える店も少ない。店員の愛想も総じてよくない。たとえばお客さんが順番待ちで並んでいるときに、少しでも急いで席についてもらおうとする気遣いや、おいしいものを食べてもらいたいという必死さが伝わってこないんですよ。愛が感じられないんです」
* 大泉学園にあるお店 *
* 大泉学園にあるお店 *
思えば小学校に上がった頃から、彼にとってお好み焼きは身近な存在だった。近所にはまるでコンビニエンスストアのように、そこかしこに店が立ち並ぶ。そして、それぞれに個性があった。味にうるさい大阪では、まずければ簡単に潰れてしまう。だからこそ店は日々努力を怠らず、多くの舌を喜ばせようとオリジナリティを追求し、同時に接客も大事にする。客もそこで初めて、その店を慕うようになる。その結果、作り手と受け手とのあいだに一体感が生まれるのだ。

 あるとき、金本さんは思った。「どうせやったら、オレが東京のひとたちにうまいお好み焼きを食わしたる」。幼い頃から、ありとあらゆる大阪名物を食べ尽くし、自らも家で腕を揮ってきた彼には、求める味が解っていた。さらに、つくる自信はもちろんのこと、本物の味を知ってほしいという思いもあった。勤めていた会社を辞して「ももや」をオープンしたのは、いまからちょうど3年前のことである。
立ち上げ当初から今日まで、金本さんは汗を惜しまず厨房に立ち、フロアも駆け回った。いまでは馴染みの客も増え、みな一様に笑顔で店を後にする。 彼は言う。「気合入ってますよ、うちの店を愛してほしいから。これからもずっと、お客さんと一体感のある、皆んながファミリーのような店でありたいですね」胸に抱く思いは、ひとに対して垣根をつくらない金本さんの人柄そのものだった。

 さて、話をひととおり聞き終えたところで、金本さんは「お好み焼くから食べてってや~」と言いながら徐ろに席を立ち、鉄板に向かった。包丁を軽快に捌き、てこを自在に操る。漂う香りと「じゅう」という焼き音が、五感を刺激して離さない。8種類の粉をブレンドしてつくった生地はふっくらとし、見るからにうまそうだ。そのうえに、何度も試行錯誤を重ねてつくりあげたという手製のソースが塗される。「ハッキリ言うけど、めっちゃうまいで~」出来上がったお好み焼きを皿に乗せながら、彼は屈託なく笑った。なるほどどうして、その味たるや……などという野暮な感想は、ここに書くまい。実際に体験してみるのが一番なんである。



  取材・文◎隈元大吾
http://www.scn-net.ne.jp/~jps/

お好み焼き もんじゃ焼き ももや
住所:〒178-0061
大泉学園町6-18-2 2階
 
アクセス: 西武池袋線大泉学園駅北口より
都民農園セコニック行き
他に乗り
大泉風致地区バス停下車徒歩10秒
 
電話番号:03-3921-6999
FAX番号:03-3921-6999
営業時間: 17:30~23:30  
定休日: 火曜
駐車場: 6台