皆様、こんにちは!
美術鑑賞サークルのちーです。
9月23日(土)にサークル11回目の活動として、 国立新美術館「テート美術館展 光 ─ ターナー、印象派から現代へ」を鑑賞しに行きました!
テート美術館とは、テートの名を冠するイギリスの4つの国立美術館で、今回は「光」をテーマに19世紀ロマン主義ターナー、コンスタブルや印象派などの絵画作品から、タレル、リヒター、草間彌生などの現代アーティストの作品までを集めた世界巡回展です。
主に前半部分は19世紀ロマン主義から20世紀抽象主義に至るまでの絵画・写真等がメインが展示され、後半部分は光をテーマにした現代アートのインスタレーション(場所や空間を鑑賞者に体験させる作品)を体験できる作品に大きく分けた構成になっていました。
今回もブログに書ききれないほど素晴らしい作品が沢山ありましたが、絵画はイギリスの美術館ならではと思った作品を中心に、現代アートはインスタレーションを中心に取り上げてみます。
ウィリアム・ターナーは1775年イギリス生まれ、19世紀前半のイギリスの風景を描いたロマン主義の画家です。
個人的には抽象絵画のような水彩画のイメージが強かったのですが、今回は油彩画4点が出展されていました。
《湖に沈む夕日》(1840年頃)は、夕日でにじむ大気がオレンジ色の油彩によってキャンバス一面を染め上げていて、その表現は「モネ…?」と思わず見間違えてしまうほどでした。
フランス印象派のモネ(1840-1926)はターナー(1775-1851)より65歳年下ということになりますから、ターナーは随分時代を先取りしていたことになります。
自然に満ちる光を目に見えるままに描く手法が印象派の特徴ですが、一面に満ちる光の表現は印象派の専売特許という訳でなかったのだなと感じました。
ターナーと何かと比べられることの多いジョン・コンスタブル(1776-1837)の作品も展示されていました。
コンスタブルはターナーと一つ違いで、同時代のイギリスの風景を描きましたが、ターナーとは正反対に穏やかなで美しい自然を描いています。
こちらは正統派ですね。
コンスタブルの光に対する熱意もターナーに負けず劣らずのものです。
《ハリッジ灯台》(1820?)には広々とした空に浮かぶ雲が美しく描かれています。
コンスタブルは刻々と変わりゆく空と雲を日付と時刻をタイトルにした油彩作品を残しており、同じ場所の同じモチーフが時刻や季節によって様々に表情を変えていく様子を描いたモネの睡蓮などの連作を思い起こさせます。
光を表現する探究は何も印象派に限らず、ロマン主義の画家たちの挑戦があってこの後の印象派に繋がっていくという、その一連の流れを感じることができました。
出展作品のチョイスで変わっているな、と思ったのが、古代ローマ時代に噴火したヴェスヴィオ火山に埋もれたポンペイ(西暦79年)の様子を描いた18世紀後半と19世紀前半の二点の絵画です。
17世紀からヨーロッパの上流階級の間では、グランドツアーと呼ばれる古代ローマやルネサンスの史跡・文化を学ぶ旅が流行するのですが、1748年に発掘(正確には再発見)されたポンペイも注目の観光地となりました。
現代の我々が記念写真を撮るのと同じく、彼らもお土産として観光地を描いた絵画を購入していたのですが、これらの作品もそれに類するものと分類されるかと思います。
特に、ジョン・マーティン《ポンペイとヘルクラネウムの崩壊》(1822年)は人だかりではっきりと見えないくらいの人気でした!
サイズも大きく迫力があり、噴火で真っ赤に染まっていく空と壮大な光景はまるでハリウッド映画のようです。
ジョゼフ・ライト《噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を望む眺め》(1776-80年頃)もドラマチックで想像上の恐ろしい風景なのに美しいと感じてしまいました。
二点とも今回の展覧会では比較的早い時代の作品ですが、見たことのないはずの噴火の光を描く人間の想像力の豊かさを感じました。
展示後半は、光をテーマにした現代アートが展示されています。
正直、前半の絵画部分は夕方にもかかわらず人混みがすごくて鑑賞するのが大変だったので、後半は空いていてホッとしました…
ですが、人気がないのではなく、むしろ体験型のインスタレーションが多いおかげで、現代アートに苦手意識のある自分もとても楽しむことができました!
特に気に入ったのは、リズ・ローズ《光の音楽》(1975)です。
バチバチという音とともに、点滅する光の中、写真にあるように自分のシルエットがスクリーンに映し出されるという仕掛けです。
実は、実際に体験したときは「どこに自分は映っているんだろう?」というような感想だけだったのですが、後で写真を見たときに「アニメの登場人物みたいでカッコイイ!」なんて思ってしまいました。
自撮りだとつい恥ずかしく思ってしまいますが、シルエットだからこそ割と素直に楽しむことができた気がします。
自分がアートになる、という貴重な体験ができました!
また、鑑賞前から注目していたジェームズ・タレル(1943~)の《レイマー・ブルー》(1969)は、展示部屋に入ると映画のスクリーンのように四角く発光する象徴的な青の光を見つめながら、その光に包まれることで作品の意味に思いを巡らせることができました。
タレルと言えば、金沢の21 世紀美術館のタレルの部屋、直島の地中美術館のオープンスカイのように、展示部屋に入ると天井が四角く切り取られていて、本物の空が見えるという作品で日本でも有名です。
今回の作品も、鑑賞者を空間に取り込むことで、自然と考えを巡らせられる仕掛けが見事だと思いました。
ちなみに、タレルはパイロット免許を持っていることから、空を飛ぶイメージからインスピレーションを得た作品だそうです。(残念ながら撮影禁止でしたので、画像はありません。)
展示としては光をテーマにしたインスタレーションが多いだけあって、体験という意味でも映画鑑賞に似ているなと感じました。
最近はついネット配信で見ればいいと思ってしまいがちでしたが、実際に体験する重要性を感じさせられてなんだか反省してしまいました。
小難しい展示が多いと思いきや、知識なしでも楽しめる展覧会だったように思います。
個人的には、苦手意識のある現代アートが、光を体験するというなじみやすいものだったせいか、文中に何度も出てきてた通りまるで映画鑑賞のようで、思いの外満喫できたのが大きな収穫でした。
視覚作品としてのアートは光こそがすべてと言ってもいいと思いますが、今回の展示はその中でも光が印象的な作品ということで、普段はなかなか意識しない、目に映る世界の美しさについて日常とは視点を変えて体験できる機会が得られる充実した展覧会でした。
今回は5名での活動となり、珍しく夜開催ということもあって歓談の時間は設けられなかったのですが、風景画と自分の旅行体験を重ね合わせたり、自分が全く注目していなかった作品が参加者から一番印象に残った作品として取り上げられたりと、久しぶりに感想をシェアすることができ、思ってもみなかった視点が大変勉強になりました。
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コミュニティ | 社会人勉強コミュニティ・サークル|東京自習会 |
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